英語発音のための発声法、SAS開発物語

英会話との出会いそして格闘

英会話との出会いは大学3年生の終わりでした。母から就職活動のために英会話の勉強でもしたら?と勧められ嫌々英語の勉強を始めたのがキッカケでした。リンガフォンという英会話のカセットテープを購入して独学を始めました。しかし、根っからの英語嫌いのため思うように上達しません。以来30年、いろんな教材を買い、英会話本を買い結局500万円以上のお金を英会話学習に注ぎ込むも英語は話せるようになりませんでした。30年もかけたのに...。その間、多くの方々と同じように何度も挫折を味わい、もう英語なんか勉強するものか!と自暴自棄になったこともありました。

そして英会話の勉強をやめる決心をしたのが1990年代の後半でした。

しかし、このままで良いのか?英語とパソコンの勉強は避けては通れない時代が来る。英語との勝負に負けたまま人生を終わって良いのか?と思い直し最後のチャレンジを自分に課したのです。

自分なりに努力もしたけれどそれよりも運の手助けを得て2009年に英国の大学院に入学することができるまでになりました。そしてすべてが英語の環境に変わり、世界を見るようになり、人生が少しずつ変化していくような感じがしてきたのです。

入学した当初は課題が何なのかすら理解できないままクラスが始まりました。クラスメートに助けられ、指導講師に助けられ悪戦苦闘の末、やっとの思いで大学院を修了。

英国の大学院を修了すると周囲の目は変わりました。「英語話せるんだ、凄い」と言われるようになりました。やった!

 

英会話、ひとつの節目、今後の役割

英語が話せるようになっ今、自分の人生を振り返ってみると、もっと簡単に英会話を習得する方法があったと思います。

30年も必要ない、500万円も要らない。本当に自分ってバカだなと思います。もっと楽に早く英語は習得できます。

過去を悔やんでも仕方がありません。それよりも、自分と同じ苦しみを若い世代の人たちに経験させたくないという思いが高まり、日本の英語教育を改革しようと決意するに至りました(カッコいい)。

 

 

言語は発音だ!

ところで、言語習得過程で一番重要なものは何だと思われますか?

私は発音だと思っています。

どんなに語彙力があっても、文法を知っていても、リスニング力が高くても、発音が悪ければ話になりません。コミュニケーションがスムーズにできないと思います。それなのになぜか日本では発音の重要さが注目されていません。

「通じればいいんだよ、発音なんてそれほど重要じゃない」

たしかに、日本語発音の英語でも通じることもあるのは確かです。でもいつも通じるとは限りません。相手が聞く気になっているから通じるのです。

大学生の頃、こんな経験をしました。

グアム島のビーチで日光浴をしていたらドリンク売りのお姉さん(二十歳くらい)がやってきました。金髪の美人女性だったので思わずドリンクを買いました。たしか2ドルちょっとでした。しばらくするとそのお姉さんがドリンクを持って来てくれました。3ドル渡して「お釣りは要らないよ」と言おうしたんですが、緊張して小さな声でしかも日本語発音で「キープザチェインジ」と絶対に通じない英語が口から出てしまったんです。ところが彼女は満面の笑みで'Thank you!'と言ってくれました。

あんな小さな声、しかも日本語発音なのによく通じたものだと思いました。

考えてみれば、その状況で彼女が期待していたのは、客がいくらチップをくれるかです。「お釣りは取っときなよ、チップにあげるよ」と言ってくれることです。つまり、こちらの話す英語を聞く気になっていた、だから通じたのです。それに2ドルちょっとで3ドルも渡すのはチップ大過ぎです。彼女が喜んだのは当然でしょう。

 

通じれば発音なんてどうでも良いのでしょうか?

そんなわけありません。集中して聞かないと相手が何を言っているのか分からないような英語発音なんて誰も聞きたくないはずです。

 

発音が軽視される理由

発音が一番重要だと分かっているのに発音が日本であまり注目されていない理由、それは受験英語で発音が重視されていないからでしょう。

あるいは企業が発音を重視していないからかもしれません(たとえ重視していたとしても発音が上手か下手かを面接で判断できる人材が少ないのでしょう)。

もう一つの理由、それは英語発音教材を作っても売れないからでしょう。

でも本当にそうでしょうか?注目されてないから売れないのでしょうか?

答えは歴史の中にあるはずです。

 

ナチュラルスピード

カセットテープ全盛期は、ネイティブは英語をユックリ話していると信じて疑わなかった時代だと言えます。

なぜなら当時販売されていた英会話テープはどれもユックリ話している英語ばかりで、早口英語なんて聞いたことがありませんでした。私が買ったリンガフォンの英会話テープもユックリ話している英語でした。

そんなある日、グレゴリー・ストリカーズという方の“なぜ英語が聞き取れない、話せない”という本を書店で見つけて買いました。その中に、アメリカ人が普段の生活で話す速度、ナチュラルスピードのことが書いてありました。日本で売っている英会話テープと違ってものすごく速いと書いてありました。それ以外にも、日本人は何年も英語の勉強をしているのに英語が話せない、日本の英語教育の仕方は間違っているとも書いてありました。そして企業が英語を話せる人材しか採用しないという時代が来たら日本の英語教育も変わるだろうと(上に書いたようなことが)書いてありました。その本を読んで、英米人が話す英語はそんなに速いのか、どんなのだろう?と想像したりしていました。当時、セサミストリートという幼児向けの英語のテレビ番組がNHKでやっていました。それを見て驚きました。子供相手にユックリ喋っている外国人の英語ですら早口に聞こえたからです。ユックリ喋ってこれかぁ。

ちょうどその頃、ナチュラルスピードの教材を提供してくれる会社が現れました。アルク社です。ヒアリングマラソンという教材です。今でも有名な英会話教材です。ユックリな英語しかなかった当時に、ヒアリングマラソンが社会に与えた影響は凄かったと思います。そして結構たくさん売れたようです。

一年に1000時間英語を聞きなさい。つまり一日3時間。それくらいやらないと英語は話せるようにはならない、という宣伝文句です。ユックリ英語しか売れなかった時代にナチュラルスピードの教材を出し、一年間真面目に勉強しなさい、と。

その思いをぶちまけたアルク社の社長の信念には頭が下がります。

今はどうでしょうか?聞き流すだけで英語が話せるようになる教材が売れています。10分とか20分とか聞き流すだけで英語が話せるようになるわけないじゃないですか!少し真面目に英会話の勉強をしている人は、そういうたぐいの教材がインチキである、誇大広告であることは分かっています。でも、世の中には英語の勉強の仕方とか何も知らない人の方が多いのでしょう。聞き流すだけなら簡単だから買ってみよう、テレビや新聞でよく見るから良い教材に違いないと考えて買ってしまうのです。これは悲劇です。

 

そんないい加減なものが注目されるような時代になってしまいました。

これは社会問題では?と思えるほど、日本人は怠け者になったような気がします。

話を戻すと、ヒアリングマラソンは速い英語など注目されていない時代に売り始めました。注目されていないものを販売したから売れたのです。歴史に残った瞬間だと私は思います。

だったら同じことを発音でできるかもしれない!

 

2020年3月10日から販売再開しました!

 

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